人生は運!仁☆晴雲の開運雑記

元町中華街「華陽園」の仁☆晴雲のブログ

世界の黒川

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会社を早期退職して、フリーランスになってから約20年。
初めての本格的な仕事がリクルート地域活性部での鹿児島の仕事だった。
その時に聞いたのが、九州じゃらんでは、九州の温泉で今人気が1番なのは黒川温泉という事実だった。

当時は九州で温泉といえば一般的には別府であり、湯布院がいいという人は粋な感じだった。
そんな気分だったのに「黒川温泉」と聞いて、どこ?っていうのが素直な感想だった。

今ではどこの温泉街でも当たり前なシステムになっている『湯めぐり手形』はここが発祥らしい。
このままでは黒川温泉はやがて廃れてしまうという危機感で、それまでライバル同士だった旅館の女将達が集まってさまざまなアイディアを出し合った。
そこから生まれたシステムだ。
料理も人気旅館の料理はそのレシピなどを情報開示したらしい。


確かに、悪い旅館に当たった宿泊客は二度とその旅館に行かないだろうし、結果、黒川温泉全体の評判も悪くなる。
小さな温泉郷だからこそ出来ることかもしれない。

20年前はいつかは黒川温泉に行きたいなと漠然と思っていたが、今回ようやく願望が叶った。

はじめての黒川温泉は熊本空港から遠く、しかも1日に1本しか高速バスがないため、不便、不便。
後で聞くと福岡からの方が便利みたいだ。
まあ、簡単に行けないからこそ、黒川温泉の希少価値を生み、存在を輝くものにしているのかもしれないが。。。

まさに日本の原風景と言える午が放牧される草原や田園風景を越えて進んで、ようやくたどり着く秘湯のイメージだ。
山奥の小さな温泉街であるにも関わらず、どれもが素晴らしい景観を持った旅館ばかり。
野趣豊かな野天風呂や、立ち湯、洞窟温泉などさまざまなスタイルの温泉がある。

大きな温泉街と比べてコンパクトであり、一泊5万円以上で高級過ぎて、作り込み過ぎた気負いも感じない。

今回宿泊した「のし湯」はたった11部屋しかない旅館だからこそ、入り口から部屋まで、温泉に至る場所、敷地内にあるさまざまな休憩所のどれもに手入れが行き届いており、素晴らしい。


何もしていないようで朝には打ち水がまかれ、その水が朝日を浴びてキラキラ輝いているし、しっとり程よい空間を作っている。
庭にある囲炉裏からは椿のような葉っぱが焼かれ、良い香りが立ち上る。
敷地内にある岩や苔なども見事だ。
何百年前からこのままの状態が続いているかのような錯覚すらおぼえる。

温泉に入ってゆっくりするのも至福の時だが、まさに長い時間の旅をしているかのような気分に自然となれている自分がいる。
のんびりするというのは、こういった時間の流れを感じることなのかもしれない。

そばに流れる川はおそらく黒川なんだろうけど、部屋のテラスで聞いたその流れの音も深夜心地よかった。
考えてみれば、黒川温泉の存在を知って20年。
本当に長い時間だった。

のし湯では欧州からの宿泊客もいて、海外の温泉マニアの間では、黒川温泉は外せない場所らしい。
何だか日本人よりも外国の人の方が本当の日本の良さを知っているのかもしれない。

今回はたった1泊でそのまま熊本に移動したのだが、次回は最低でも2泊はしたいものだ。